ペリペリと面白いくらいに土がめくれていく。
犂(すき)という馬耕道具を馬に引いてもらい、その柄を持って角度を変えると深さや向きを調整できます。
馬や道具への負荷を見ながら、馬の歩みとペースを合わせて耕していきます。
ドロドロになりながら、足の裏で土の塊を探しながら歩く。
田んぼの土作りでは、水を入れた後で犂を使って土と水を混ぜていく荒くりを行います。
水漏れの多い田んぼでは、次の荒代の後でもう一度、この作業を行います。
トロトロになっていく土が、足の裏でフワフワになって気持ち良い。
馬鍬(まんが)という馬耕道具に体重を乗せて、始めはグルっと大きく回り、次はグルグルと螺旋状に回ります。
こねられた土が水に浮いてフワフワと浮き出したら、土の表面を水平にしていきます。
一粒一粒がありがたい、その意味をかみしめてお米を食べる。
土作りの後も化石燃料を使わずにお米作りを行います。必要なのは土と水、空とお日様。
地域の身近にあるものをめぐらせて、持続可能に自給できる方法を残していきます。
一日は少しでも毎日食べていると、いつの間にか綺麗に広がっていく。
森の中に歩けないほどあった笹がなくなり、夏には勢いのある放棄地の草藪がなくなっていきます。
使わなくなったことによって失われてしまった里山の景色を、再び取り戻していきます。
馬耕を知る世代から教えてもらったことを残していく。
50年も前のことを昨日のことのように思い出して体が動き、犂を持って土を耕していきます。
その当時のやり方を教えてくれる、馬と暮らしていた人は貴重です。
子どもだった頃、家で牛や豚を飼っていたことを思い出す。
代かきを子ども達に手伝ってもらうと、ソリのように道具に乗って土の上を滑りながら遊び始めました。
難しいことを言わなくても遊びながら自然とできるようになっていきます。
一頭の時よりも、二頭が並ぶと安心して落ち着いて力を発揮する。
いつもより重たい道具を引くこともできるし、交代しながら長時間できるようになります。
2頭が並ぶことになれてきて、歩くペースも合うようになってきました。
暮らしの便利さや効率性を求めすぎず、日々を豊かに過ごしていきたい。
かつて暮らしの身近にいた家畜達は姿を消し、牧場などの限られた場所に移りました。
馬と暮らすことで、私たちの暮らしを支えている物事との関わりを意識してわかるようにしていきます。